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title. project 3-15​ 『不思議』

date. 2021

city. Tokyo

type. 樂

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ものづくりのあり方は、採用する手法それ自体に大きく左右される。


樂の「手捏ね」という作り方は、粘土を手で立ち上げ締めていき、掌の上で捏ねたり削ったりして形を造っていく。
その瞬間、瞬間に立ち現れる形、それを自らの美意識に照らし合わせつつ取捨選択していく、そうした「応答」の中で形が出来上がる。

 


一方、コンピューターを使ったモデリングでは、とても人の手では再現の難しい複雑で細かいデザインを極めて簡単に行える。
しかし良くも悪くもやや予定調和的であり、自然物が返してくるような意外性には乏しい。

 


そんなことを意識しながら、無数の「応答」の末に手で成形した茶碗に、 CAD と 3D プリンターでこしらえた形態を押し当てて、互いの生成過程や得意とする形態表現の違いを楽しむ茶碗を作っている。
『山の端』も茶溜まりの部分だけではあるが、その試みをした。

 


この茶碗『不思議』は、やや口の窄まった塩笥風の丸い茶碗を作り、まだ土の柔らかい間に 3D プリントした型を押し当てて完成させた。
桃山時代の瀬戸黒の発色に近づけた黒と、より樂釉に近い黒の二種類の釉薬をかけ分けており、水を含ませておくと発色の違いが際立つ。

 


異なる 2 要素が対立しているようで、一見すると過激な茶碗であるものの、実際に手にしてお茶を飲んでみると不思議な落ち着きを湛えている。
2 通りの作り方について頭を捻って表現しようと思っていたのがどうでも良くなる、思議の界を抜けたところ、不思議の底において楽しめる茶碗なのだろう。

 


今後は3D スキャンも利用してより効果的な手法の両立をはかりたい。

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