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title. project k-8『考える人 香合』

date. 2023

city. Tokyo

type. 樂

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小さいものを大きく、大きいものを小さく。
スケール感が変わると生じる可笑しみや驚きがある。

ロダンの『考える人』が腰掛ける小さな香合である。
前傾姿勢で、顎を支える右腕の肘を左腿に乗せる独特の姿勢のために背中の筋肉も隆起している。
『考える人』という名前自体はロダンの死後に付けられたというが、全身の肉体の力強さそれ自体が、考える、或いは何かに集中する様子に重みを与えているように感じられる。

そのようなモチーフを、敢えて高さ4cmで表現し、香合として造形した。
茶道の炭点前で炉に炭を綺麗に入れて整えた後、その仕上げに香合を取り出し、中に仕込んだ煉香(ねりこう)を出して炉の灰の温かい場所に置いて薫らせる。
煉香を出す際、亭主は香合と対面する。
そのときに親しみとともに少し背筋が引き締まる香合を作りたかった。

荒目の信楽土と赤土をブレンドした土で成形し、透明釉と、それに松灰を混ぜたものを複数用意し、筆で掛け分けて施釉している。
焼成は、楽窯に詰めた炭の上に直接置いて、何度か位置や向きを変えることで、変化を見込みつつ焼きあげた。

底に刻まれた『VIVERE EST COGITARE』は、「生きることとは考えることである」というキケロの言葉の一部の引用であり、そうありたいなと思って刻むこととした。

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